黒澤明MEMORIAL 10 〈別巻 +2〉 羅生門

出版时间:2011-3  出版社:小学館  作者:野上照代  

内容概要

日本の至宝、ヴェネチア・グランプリ受賞作
昭和26年9月。『白痴』が不本意な形で公開、酷評され、失意のどん底にあった黒澤明。彼にもたらされたのが、「『羅生門』ヴァネチア映画祭グランプリ受賞」の報だった。この一報が、戦後の失意に沈む日本人に勇気を与え、日本の文化が世界で再評価される契機となり、黒澤が世界的映像作家への道を歩む第一歩となった。
労働争議により48年から古巣・東宝を離れていた黒澤明は、49年の『静かなる決闘』に続き、2本目の大映作品を撮影することになっていた。黒澤が取り上げたのが、当時全くの新人・橋本忍が芥川龍之介の「藪の中」を元に書きあげたシナリオだった。後に『生きる』『七人の侍』をともに生み出す盟友となる二人は、そのシナリオを『羅生門』に昇華させた。
黒澤は、その芸術の香り高いシナリオを、しかし静謐な文芸作品としては撮らなかった。見上げるほど巨大な羅生門のセット、バケツでぶちまけたような雨、目もくらむような陽光、濃密な男女の交情、無様な(したがって迫真の)剣戟。これはかつて誰も見たことのない芸術。そう、「映画」という名の芸術だった。
これは戦後の日本が世界にたたきつけた、映画という形を借りた挑戦状だ。

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