原寸大コロタイプ印刷による 法隆寺金堂壁画選

出版时间：2011-6  出版社：岩波書店  作者：「法隆寺金堂壁画」刊行会／編  

内容概要

日本仏教文化の源流、奈良県斑鳩の法隆寺金堂に千数百年の時を経て伝えられてきた壁画は、アジア仏教美術における至宝というべき傑作であり、また私たちの芸術精神のよりどころとして広く愛されてきました。岡倉天心は『東洋の理想』で「最も優秀なるもの」と評価し、和辻哲郎は『古寺巡礼』で「東洋絵画の絶頂」とまで激賛しています。しかし、金堂壁画は一九四九年一月二十六日早朝、不慮の火災により焼損してしまいます。
幸いなことに、金堂壁画は焼損前の一九三五年に京都の便利堂により大型のガラス乾板を用いて精確に撮影されており、これらのガラス乾板は、当時、一部大学・博物館などに納入された原寸大複製や模写の下図、また焼損直後の原色版印刷複製に用いられました。その後、原寸大分割撮影のガラス乾板は、法隆寺に納められ、爾来、寺において厳重に保管されてきました。本書は、関係各位の全面的なご協力をいただき、これらの貴重なガラス乾板から、およそ半世紀ぶりに、壁画を細部まで鮮明に再現し、壮麗なる白鳳絵画の美を甦らせるものであり、さらに、歴史、建築史、彫刻史、そして絵画史の研究において蓄積されてきた成果を踏まえ、壁画成立の背景とその歴史的意義を総合的に捉え直す画期的試みであります。
日本仏教絵画の至宝、金堂壁画の主要部分(多色刷1葉，モノクロ6葉)を焼損前に撮影されたオリジナル・ガラス乾板から、連続階調による優れた再現性と高い耐久性を誇るコロタイプ印刷を用いて原寸大で鮮明に再現。随時、取り出して観賞や模写などに利用できるよう、体裁は枚葉式とし、畳紙に納めました。