スピノザの方法

出版时间:2011-1-21  出版社:みすず書房  作者:國分 功一郎  

内容概要

「〈われわれが崇高な諸問題の思索に際して安全かつ倦怠なしに進みうるような方法が存在するのかどうか、あるいは存在しうるのかどうか。それとも、われわれの精神もわれわれの身体と同様に偶然に従属し、またわれわれの思想は技術によって支配されるよりも偶然によって支配されることが多いのかどうか〉。バウメーステルが尋ねているのは噛み砕いて言えば次のようなことだ。ものを考えるにあたりわれわれは暗闇のなかをひとり手探りで進まなければならないのか。それともその暗闇のなかには道案内がいるのか。また道案内は可能か。
スピノザは、まさにこの素朴な問いについて考えをめぐらせていた。彼は最終的に『倫理学』という書物を完成する。〈倫理学〉とは平たく言えばいかに生きるべきかについて考える学問であるから、彼は彼なりにこの問いへの答えを見つけ出したのである。われわれの目的はこの答えを解明することである。だからわれわれは、バウメーステルと同じ問いをふたたびスピノザ哲学に投げかける。そしてスピノザが残した著作にその問いへの答えを探す」
有限な知性はいかにして十全な観念を形成しうるのか。『知性改善論』『デカルトの哲学原理』から『エチカ』冒頭部までを徹底的に精読、スピノザの思考の筋道を内在的に押し広げ、その論理展開と問題意識とをスリリングに解き明かす。気鋭の哲学者による「平行論」の新たな地平、類書なきスピノザ基礎論!

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